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森達也監督・映画「FAKE」を見て来た [映画]

数年前のゴーストライター騒動で日本中が騒然となった注目の人、
佐村河内守氏のその後を追った森達也監督のドキュメンタリー映画
「FAKE」を少し前に新百合ケ丘のアートセンターで見てきました。


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かなり話題の映画で、ラジオでは実に多くの人たちが
「FAKEを見た、面白い!」と話題にしていました。
一番最初に知ったのはTBSラジオ「たまむすび」内での
町山智宏さんの映画紹介コーナーででした。

ちなみに、町山さんのこの映画コーナーは彼の話術とともに
毎回「へぇ〜」が止まらない解説とトリビアを提供してくれるので
超オススメです。YouTubeでいくつか聴けるかも。



さて「FAKE」ですが、評判どおり面白い作品でした。
だいたいにおいて、フィクションには個人の嗜好にとって
当たり外れがあると思うのですが、

ドキュメンタリーは自分の知らない世界を垣間みることができるので
たいていの場合は後味は抜きにして「面白い」という
感想になってしまうのですね、自分の場合はね。


まず、カメラは佐村河内氏に密着しているので
当然ながら視点は佐村河内氏側ということになりますが、
過剰に彼を擁護・正当化するという方向ではなく
「彼にとっての真実」が何か、を引き出していきます。

しかし、普通に毎日テレビなどを見ている側としては
対立している新垣隆氏の言動を日々目にしてきたので
沈黙を守って来た佐村河内氏が何を考えているのか
という部分を知るだけでも大変に興味深い内容でした。


一番の問題、というか疑惑だったのは
・本当に耳が聞こえないのか
・佐村河内氏に作曲能力はあったのか
という部分ですが、それについての答えらしきものは
この映画の中で提示されます(ちょっとネタばれですが)。

しかし、森達也監督が映画の中で提示するその内容を
全面的に信じるかどうかは観客に委ねられている、
という帰結になっています。

なにしろ「ドキュメンタリーは嘘をつく」という
著書もあるくらいですからね、森さんは。

よって、この映画を見ると「本当はどうなのか?」
という話を誰かとしたくなってしまいますね。
そのモヤモヤ感の提示が、まさに監督の狙いなのかもしれません。



ぼくがこの映画を見て思ったのは、佐村河内氏の真偽よりも
マスコミ報道のあり方とそこに垣間みられるいまの日本の空気が
なんとも窮屈で居心地悪く気持ち悪いものだな、ということ。
きっと、多くの人がそういう部分で同じ感じ方をしたのでは?


森達也監督の過去の作品を見ても常に「ものごとの真偽や正否」よりも
柔軟な視点、単一思考ではない双方向(あるいは多方向)からのものの見方
の必要性を観客に(あるいはこの国に)提示してきたのではと思います。

映画を見てどう感じるかは人それぞれと思いますが
いまの日本の空気や人間の業というものを再考するには
よい機会となる映画なのかな、と思いました。



蛇足ですが、佐村河内氏の記事を文春に書いて世間に疑惑を知らしめ
この映画にも名前が登場するジャーナリスト氏の本作に関する寄稿文も
合わせて読んでみると「双方の視点」を把握する上で興味深いので
一読をオススメします。

→ こちらの記事です




  


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映画『バックコーラスの歌姫たち』をDVD鑑賞 [映画]

ツタヤで3本のDVDをレンタル、
うち2本はジャック・ベッケル監督作品だったのですが
もう1本は『バックコーラスの歌姫たち』を借りました。

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実はこれがメイン、なにか音楽映画を観たくて
映画館では未見だったこれが目について。
観たかったんですよ、この映画。


結果から言えば、これは映画館で観るべきでしたね。
映像よりも音を、歌を大音量で聴くために。


有名ミュージシャンの名演を支えてきた
知られざる影の功労者たちにスポットライトをあてたことは、
音楽ファンにあらためてその素晴らしさを知らしめるとともに
なによりも彼女たちの人生にとって報われるものだったのでは
と、圧倒的な彼女たちの歌唱を見て・聴いて思いました。


出演者のなかでぼくの知っている人だと、
ストーンスの「ギミー・シェルター」で歌っていた
メリー・クレイトン

同じくストーンズの長年に渡るツアーメンバーで
こちらも「ギミー・シェルター」歌唱が圧巻な
リサ・フィッシャー

フィル・スペクターのもとで数々の名唱を吹き込んだ
ダーレン・ラブ

マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』でフィーチャーされていた
日系シンガーのジュディス・ヒル


それ以外の人たちも、とても素晴らしいです。
しかし、皆実力があるもののソロでは成功しなかったり
業界でうまく渡り歩けないために苦渋を飲んできたり。

音楽業界の厳しさをひしひしと伝えるエピソードが多いものの
それでも「歌うのが好き」という純粋な姿勢に心打たれます。


それにしても、彼女たちの仕事はハンパなく一流仕事ばかり。
実際に歌っている有名映画/映像のシーンが
数多く挿入されているのもこの映画の見所かも。

トーキング・ヘッズ『ストップ・メイキング・センス』や
ジョージ・ハリスン『バングラディシュ』や
ジョー・コッカー『マッド・ドッグス&イングリッシュメン』や
デヴィッド・ボウイ「ヤング・アメリカンズ」や
アイク&ティナ・ターナーやストーンズのライブ映像などなど...。
どの映像もあらためて見直したくなりますね。

とにかく、彼女たちに支えられた名曲がいかに多いかが
この映画を見ると分かります。



これから音楽聴くときは、バックコーラスの素晴らしさにも
注目して聴いていきたいものです。

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ジャック・ベッケル『穴』の緊張感に鳥肌 [映画]

まだ東京に名画座がたくさんあった頃、
1980〜90年代くらいまでは足繁く通いました。
だいたい2〜3本立ての映画を一日にハシゴしたりして。

銀座並木座では黒澤や小津や成瀬の名作から
大好きな社長シリーズやクレージーキャッツ、
GS映画などの昭和のプログラムピクチャーを。

大井町の大井武蔵野館では日本のキテレツな
カルト映画の数々を見たり。

その他にもいろいろなところで映画を見た記憶があり
名画座のある失われた風景が懐かしくもあります。


洋画は主にヨーロッパ映画をよく見ていましたね。
ヌーベルヴァーグとか90年代に発掘されたオシャレ系のとか。
六本木のシネヴィヴァンにもよく行ったものです。


シネヴィヴァンは今はなき六本木WAVEの地下にあった
ちょっとおしゃれな映画館でした。
ヒルズの再開発でWAVEのビルも無くなってしまいました。

ジャック・ベッケルの『穴』もシネヴィヴァンの
ベッケル特集上映で見た記憶があります。
ベッケルはヌーベルヴァーグの監督達の先輩世代にあたる
フランスの映画監督ですね。


この『穴』は脱走もの映画なんですが、
エンタテインメントというよりはまるでドキュメンタリーのような
リアルな感覚あるモノクロ映像がじりじりと見る側に切迫感を与えます。
『大脱走』が大好きだったこともあり、その緊張感がたまりません。

余計な音楽はなく、穴を掘る音の響き、コンクリを砕く様子の長回し、
のぞき穴のクローズアップ、5人の主人公のキャラ設定の明快さ、
数々の脱走テクニックなど、映画的な快感が凝縮されています。
ハリウッド映画にはない面白さだと思いますね。


『穴』Le Trou
 1960年フランス映画
 ジャック・ベッケル監督作品


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本国で公開された1960年に日本でも公開されていたとは驚き。
ぼくが見たのは1992年のリバイバル上映でした。


ベッケルはこの映画を撮った1960年に亡くなっているんですね。
享年53歳とのこと、まだまだ若くして亡くなってしまい残念。
彼の名作『現金に手を出すな』も一緒にレンタルしたのですが、
こちらははじめて観るので楽しみです。


さて、『穴』の最大のクライマックスは終盤にやってきます。
ストーリーの流れからすでに不穏な気配があるものの
あるワンショットですべてが分かる!
この一瞬は今回久々の鑑賞でもやはり鳥肌ものでした。

ちなみに、女性は一切出てこないのですが
唯一面会シーンで出てくる美しい美女はあのカトリーヌ・スパーク
このシーンを見るのもまた楽しみです。


映画を語るのは難しいですが、
とにかく面白い映画なので未見の方にはオススメです。




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